台本
『死』はまるで頑是無い子供のようで。
淡々と任務をこなし続けてゆくうちに、心のどこかが磨耗してゆく。
地面に染み込んだ血、倒れ伏す敵、味方。
『へぇ、君はそこまでして生き延びたいの?』
戦場の彼方此方で『彼』がそう嗤うのが見えた。
沈みながら眺める世界は虚ろな月明かり
いくら水底を照らしても喪失の手に囚われるだけ...
里のために仲間のために、戦うことの何が悪いというのだろうか。
そこに意味はちゃんと存在するというのに。
闇を纏い、白い仮面を被り、自分の気持ちはどこにある
沈んでしまったモノは狭間で揺れる骸
存在の闇がどれ程苦しくてもあの少年を受け入れないで...
『ねぇ、君は何を望むの?』
生きていくっていうのは何かの、誰かの命を奪い続けるってことなんだよ。
そしてそれは君が生きる限り、延々と続いていくんだ。
オレは何を望む...
先生も、親友も喪って。それでも尚も戦い続ける理由は...
きっとこれからも敵の命を奪い続け、仲間の命を奪われ続けていくのだろう。
そのたびに心が悲鳴を上げたとしても。
――いずれ自分の命が奪われるかもしれなくても。
流れてゆきなさい 奪い続けながらも...
流れてゆきなさい 忘れ続けながらも...
流れてゆきなさい 失い続けながらも...
流れてゆきなさい 幻想に騙され続けながらも...
流れてゆきなさい ここに止まっていてはいけない...
流れてゆきなさい 往き先は選べずとも...
流れてゆきなさい 澱んでしまう前に...
流れてゆきなさい 『忘レモノ』を探しに...
忘れないで アナタの詩にも意味があることを...
流れてゆきなさい 唯流れに身を任せ...
――いつか、この心が求めるものを手に掴めたなら。