蝉時雨 水無月の宵はあつくて
華の香に誘(いざな)われ
こっちきなんし、、、
煙管(きせる)ふかして ぷかぷかり
嗚呼、虚ろな瞳 色恋映し
いろはにほへと いつかちりぬるを
腐った檻の中舞い踊る
牡丹はわたし 凛と咲き誇る
「さぁさ、遊んでおくれなんし。」
首筋を愛撫(なでまわ)し 甘い言の葉
囁いた
「約束だ。『地獄(ここ)』から出そう。」
帯を解いて くるくるり
嗚呼、蜜はあふれて 吐息を奏で
揚羽はあなた
どこへでも飛べて
血の香を纏うは夏の陣
一二三夜(ひふみよ)数え 独りあなた待つ
頬を薄紅色に染めて
あなたは
帰ラズ
わたしはただ
待ちぼうけ
夏が終わる
夏が終わる
もう秋が来る
あさきゆめみし そしてよいもせず
迷うことなく裸足で駆ける
華なし揚羽
手足は捥(も)がれて
空をただただ仰ぎ (いと哀れなり)
百夜過ぎ 刃は研がれて
涙の代わりに血を流した
色なし牡丹 打ち上げ花火
後に何も残さず
強く、儚く、粋に
散って、、、