甘く思い出 くゆらせば
蘇るのは 故郷の
夜明け
涙の玉に たゆたうのは
小川に揺らぐ 魚の尾鰭
幼い僕の 目玉の中には
あの春の日の
山の野花
音の数々を枕木に
東へ 東へ
此処まで来た
出逢い 廻り 別れ 歌い
この声は 何処まで
届くのだろう
煙の苦味 憶えてなお
想いの糸は 断ち切れず
夜更けの静寂 彩るのは
溜息のような 不如帰
大人の僕の 胸の奥には
未だ 燃える
幼き夢
音の数々をこの轍に
刻み 刻み
此処まで来た
咲き 乱れ 散り 結び
この声は 何を
紡ぐのだろう
音の数々が泡のように
集まり 集まり 流れ往く
奏で 震え 重ね 繋ぎ
この想いよ いつか
故郷へ
音の数々を枕木に
東へ 東へ 此処まで来た
出逢い 廻り 別れ 歌い
この想いよ いつか
故郷へ