暴食
Sound Horizon——「火刑の魔女」
專輯:7TH Story CD『Maerchen』
Vocal|后期:柒柒
「罪(つみ)を祀(まつ)る歪(いびつ)な祭壇(さいだん)。
神(かみ)に捧(ささ)げられた屍(しかばね)。
君(きみ)は何故(なぜ)、この境界(きょうかい)を越(こ)えてしまったのか。
…さぁ、唄(うた)ってごらん。」
幽(かす)かな記憶(きおく)の 糸(いと)を手繰(たぐ)るように
仄昏(ほのぐら)い森(もり)へ 足(あし)を踏(ふ)み入(い)れた
幼(おさな)い記憶(きおく)の 途(みち)を辿(たど)るように
入(い)り組(く)んだ森(もり)の 奧(おく)へと進(すす)んだ
小川(おがわ)を渡(わた)り お化(ば)け樅(もみ)の木(き)を左(ひだり)へと
其処(そこ)に佇(たたず)む 私(わたし)の生家(せいか)
物心(ものこころ)ついた時(とき)には、
既(すで)に父(ちち)の消息(しょうそく)は不明(ふめい)で、
私(わたし)と母(はは)は何時(いつ)も二人(ふたり)、
とても貧(まず)しい暮(く)らしだった。
井戸(いど)に毒(どく)を入(い)れた等(など)と、
謂(い)われなき罪(つみ)で虐(しいた)げられる事(こと)も多(た)く、
私(わたし)にとって友達(ともだち)と言(い)えるのは、
森(もり)の動物達(どうぶつたち)だけだった……。
それでも 嗚呼(ああ) ねぇ お母さん 私(わたし)は幸(しあわ)せだったよ
その理由(りゆう)を ねぇ 知(し)ってた? 貴女(あなた)が一緒(いっしょ)だったから
それなのに 何故(なぜ) 母(はは)は 私(わたし)を捨(す)てたのか?
どうしても それが 知(し)りたくて……
小(ちい)さな私(わたし)を拾(ひろ)ってくれたのは
大(おお)きな街(まち)にある修道院(しゅうどういん)だった
けれど 激(はげ)しく吹(ふ)き荒(あ)れた改革(かいかく)の嵐(あらし)と
新教徒達(しんきょうとたち)の手(て)によって
嗚呼(ああ) 無慘(むざん)にも破壊(はかい)され
人生(じんせい)は數奇(すうき)のもの 運命(うんめい)は判(わか)らないから
ひとつの終(お)わりは 新(あたら)しい始(はじ)まりと信(しん)じて 勇気(ゆうき)を持(も)って
積年(せきねん)の疑問(ぎもん)を 解(と)く為(ため)に
故郷(ふるさと)を探(さが)す 旅(たび)を始(はじ)めた
小川(おがわ)を渡(わた)り お化(ば)け樅(もみ)の木(き)を左(ひだり)へと
其処(そこ)に佇(たたず)む 私(わたし)の生家(せいか)
私(わたし)の來訪(らいほう)を待(ま)っていたのは、
石(いし)のように歳(とし)を取(と)った老婆(ろうば)で、
まるで見知(みし)らぬその女性(じょせい)が、/
母(はは)であるとは俄(にわか)には信(しん)じ難(がた)く、
娘<わたし>であると気付(きづ)く事(こと)もなく、
唯(ただ)、食料(しょくりょう)を貪(むさぼ)る母(はは)の瞳(め)は、
既(すで)に正気(しょうき)を失(うしな)っているように思(おも)えた。
そして……。
改宗(かいしゅう)したけれど時(とき)は既(すで)に遅(おそ)く、
一人(ひとり)の食(く)い扶持(ぶち)さえもう侭(まま)ならなかった。
懺悔(ざんげ)を嗤(わら)う逆十字(ぎゃくじゅうじ)。
祈(いの)りは屆(とど)かない。
赦(ゆる)しも得(え)られぬまま、罪(つみ)だけが増(ふ)えてゆく……。
「成(な)る程(ほど)、其(そ)れで君(きみ)は祀(まつ)られてしまった訳(わけ)だね?/
不本意(ふほんい)ながら。
少々(しょうしょう)時間(じかん)は掛(か)かるが、
子供(こども)の恨(うら)みは、子供(こども)が晴(は)らすものさ。
宜(よろ)しいかな?
さあ、復讐劇(ふくしゅうげき)を始(はじ)めようか…」
森(もり)に置(お)き去(ざ)りにされた 可哀想(かわいそう)な兄妹<子供達(こどもたち)
捨(す)てられた子(こ)の 悲(かな)しい気持(きも)ちは 痛(いた)いほど解(わか)るわ
嗚呼(ああ) 鳥達(とりたち)を操(あやつ)り パン屑(くず)の道標(みちしるべ)を消(け)し