序章 いまだ天魔は歌われない
大兔:それは多分、遠い昔の記憶だ。
僕は公園で、とても美しい、それでいて不思議な少女に出会った。
大兔:僕の血を吸うの?
ヒメヤ:吸わないわよ、あんたの血なんて。
大兔:じゃ どうするの?
ヒメヤ:入れるのよ、毒を???
大兔:毒?
ヒメヤ:そう、毒。私の毒を貴方に入れる、貴方が決して私から離れなれなくなるようにね。
大兔:あっ
ヒメヤ:大丈夫、痛くしないから。
大兔:痛!
ヒメヤ:行くよ。はい、終わり。これで、貴方は私から離れなれない。生きる時も、死ぬ時もずっと一緒。その覚悟は出来出る?
大兔:覚悟?そんなのまだ出来てないよ。
ヒメヤ:(笑う)でも、もう呪い掛けちゃった。だから、貴方は私の僕、私の護衛、私の愛しい人よ。愛してるわ、大兔。
大兔:いきなりそんなこと言われて!
ヒメヤ:貴方に選択権はないの。
大兔:そんな???
ヒメヤ:いいから、愛してるって言ってよ。そしたらそれで魔術が完成するから。それども、私のこと嫌い?
大兔:嫌いじゃないよ。
ヒメヤ:好き?
大兔:うん。
ヒメヤ:じゃ、言って!言ってよ、大兔。
大兔:うん、僕も、僕も君を愛してるよ、ヒメヤ。
ヒメヤ:(笑う)これで魔術が掛かった。
大兔:うん。
ヒメヤ:もう一度好きって言って!
大兔:えっと???
ヒメヤ:言ってよ。
大兔:好きだよ、ヒメヤ。
そう!そう言うとして、僕の物語が始まった